TOPに戻る
第5話「位置エネルギーを解放せよ!」へ

ザリガニを食べよう

<実はとってもポピュラーな食材>
 日本人のほとんどはザリガニを食べ物と見なしていないと思いますが、世界ではとってもポピュラーな食材です。
 例えばアメリカでは、家族で湖畔などに出かけ、丸ごとゆであげたザリガニをテーブルに山積みにして家族で食べるという習慣があります。日本人が河原でバーベキューを楽しむのと同じような感覚だと思います。
 ヨーロッパでも食材として定着しており、フランス料理の高級食材になっています。何でも食べる感のある中国でも食材として定着しており、丸ごと油で揚げる食べ方が一般的のようです。また、インドネシアの方に聞いた話だと30cmくらいの非常に大きなザリガニが市場で売られているらしく、安くておいしい食材だそうです。
 ザリガニを食べ物と思っていないのは日本人くらいだと思います。


<さあ、食べてみよう>
 「ザリガニを食べる」と聞くと、寄生虫を心配する人がいると思います。その心配は正しいです。ザリガニには寄生虫がほぼ間違いなくいます。ただ、ザリガニにだけ特別な寄生虫がいるわけではないです。魚でもカニでも寄生虫はほぼ間違いなくいます。なので、必要以上に怖がることはないです。他の食材と同じように気をつければいいだけです。

 寄生虫を殺す方法としては2つ。冷やすか、熱するかです。ただ、冷やす場合は家庭用の冷蔵庫の性能では頼りなさ過ぎるので却下です。熱しましょう。
 熱する時間についてですが、加工食品などを作る際の殺菌などに必要とされる時間が法律(たしか食品衛生法)で決められていることが参考になると思います。法律で決められている時間を沸騰したお湯、つまり100度で換算すると、たしか12分くらいだったと思います。沸騰した状態で12分もゆでればほぼ完璧と考えていいのではないでしょうか。
 ゆであがったザリガニが上の画像。脱皮から経過した時間によってゆであがりの色が変わるようです。

 後述する外来種のウチダザリガニの場合、ハサミと尻尾が食べられます。画像はハサミの身です。あとはミソも食べられますが、ミソ(内臓)にはいろんなものが貯まりますから、よほど生息環境が明らかになっていない場合は避けたほうが無難なような気がします。
 で、ウソのような話ですが、ハサミはカニのような味、尻尾はエビのような味がします。そして、ハサミも尻尾もまろやかで上品な味わいです。
 ただ、ウチダザリガニは法律で特定外来生物に指定されており、飼育禁止・生きたまま移動禁止なので注意してください。詳細については後述。


日本のザリガニ

<日本にいるザリガニは3種類で、在来種は日本ザリガニ1種のみ>
 現在、日本に定着しているザリガニはニホンザリガニ、アメリカザリガニ、ウチダザリガニの3種です。在来種はニホンザリガニのみで、在来種のような名前のウチダザリガニはアメリカザリガニ同様、アメリカからやって来た外来種です。

 ニホンザリガニは在来種なのですが、もともと分布域が狭く、北海道と青森県、秋田県北部くらいにしかいません。実はザリガニはもともとアイヌ民族を除いた日本人にはほとんど馴染みのない生き物です。

 アメリカザリガニは食用として輸入されたウシガエルの養殖に使う餌として日本にやって来ました。養殖池から逃げ出した個体が爆発的に分布を拡大し、日本全国ほぼどこにでもいる状態になっています。
 ちなみにアメリカのミシシッピ川流域周辺が原産で、アメリカでは立派な食材。フランス料理の高級食材にもなっています。

 ウチダザリガニは食用としての養殖用に大正時代に輸入されたザリガニで、ウシガエルの餌として輸入されたアメリカザリガニとは目的が異なります。ちなみにロッキー山脈西側が原産です。アメリカでは立派な食材であり、こちらもフランス料理の高級食材です。
 ただ、日本では食材として定着せず。現在、急速に日本各地に分布域を拡大しており、在来種に与える影響が大きく懸念されています。分布域が拡大した原因は故意か過失かは不明ですが、人為的な放流とみられています。
 なお、ウチダザリガニという紛らわしい名前になっているのは、内田教授が研究に大きく貢献したことから、ウチダザリガニと名づけられました。名づけた人たちは内田教授を単純に尊敬し、感謝の気持ちからつけたのでしょうが、いらぬ誤解を生む原因になっています。


<ニホンザリガニ=F91、アメリカザリガニ=νガンダム、ウチダザリガニ=サイコガンダム>
 ウチダザリガニは比較的ニホンザリガニと似ており、ニホンザリガニと勘違いした人が良かれと思って放流してしまうことが多々あるようです。このような「善意の放流」がウチダザリガニ拡大の大きな原因である可能性があります。
 ただ、3種類のザリガニは大きさが全然異なり、大きさのことを知っていればかなりの確率で勘違いが防げると思います。北海道庁のホームページの画像が非常に分かりやすいのですが、ガンダムファンなら一発で覚えられる方法があります。3種類のザリガニの大きさの比率は、F91、νガンダム、サイコガンダムとほぼ同じなのです。

 ニホンザリガニ=F91、アメリカザリガニ=νガンダム、ウチダザリガニ=サイコガンダムと覚えておけば勘違いは激減するのではないでしょうか。
 ちなみに尻尾から頭の先までの大きさだと、ニホンザリガニ約5cm、アメリカザリガニ約15cm、ウチダザリガニ約20cmです。成長途中の個体だと勘違いが起こりえますが、少なくとも5cm以上あったらニホンザリガニの可能性はほぼなくなります。


外来種のアメリカザリガニとウチダザリガニ

<特定外来生物ウチダザリガニ〜飼っちゃダメ!生きたまま運んじゃダメ!〜>
 2005年に外来生物法ができ、外来生物に対する法整備が整いました。「何を今更?」と思う人もいるかもしれませんが、環境問題に関する法整備は多くの利害対立を生むため、誕生するまでにかなりの時間がかかっています。ただ、法整備はあくまでも法律的な根拠ができたというだけの話で、実際の対策は現在取り掛かっているところとなります。
 外来生物法では特定外来生物という指定があります。早い話、国が指定する「日本から消えてほしい生物」です。外来生物に関するものでは最強クラスの指定です。そして、ウチダザリガニはこれに指定されています。

 特定外来生物に指定されると、放流するのはもってのほか、飼育も禁止(植物の場合、種の保有も禁止)で、生きたまま運ぶことも禁止です。違反すると罰せられ、基本的に「知らなかった」では済まされません。
 かなり厳しいものですが、ここまでする必要があるほど日本の生態系に多大なダメージを与える生物であると解釈してください。
 捕まえてしまったときは、捕まえた場所にそのまま戻すことは許されていますが、はっきりいって殺すことが理想的です。かわいそうと思って1匹の外来生物の命を救うことはとっても簡単ですが、そのせいで多くの日本の生物の命が直接的・間接的に奪われることになります。というより、実際に奪われてきたからこそ、こんな法律をつくらなくてはならなくなったのです。

 なお、ブラックバスやブルーギル、ウシガエルも特定外来生物に指定されています。ブラックバスは釣堀などで巨大な市場を形成しているだけに業界から猛烈な反発があったのですが、環境省の努力によって指定に漕ぎ着けています。

 ちなみにウチダザリガニは大きくていかにも頑丈な体つきなのですが、泳ぎは恐ろしいほど苦手です。少しでも水の流れがあると泳ぐことができず、素手で簡単に捕まえられます。流れがとてもゆっくりなときは泳ぎますが、簡単に追いかけられるほどゆっくり。俊敏なアメリカザリガニとは大違いです。
 どうも、大きくて頑丈な体にして防御力を高める反面、俊敏性を犠牲にした進化を遂げたようです。


<要注意生物アメリカザリガニ>

 アメリカザリガニは外来生物法によって要注意生物に指定されています。要注意生物は特定外来生物に指定したいけれども、現在はちょっと見送っているという生物になります。

 環境省としてはアメリカザリガニも特定外来生物に指定したいところだと思いますが、あまりにも広く定着しすぎて国民の理解を得にくい、小学校の理科の教材にも広く使われていて無用な混乱を招くといったところが要注意生物にとどめている理由のようです。
 アメリカザリガニが特定外来生物に指定されないのは、生態系に与える影響が少ないからではなく、完全に人間側の問題ですので、どうにか解決したいところです。


二ホンザリガニとウチダザリガニ

<小さな二ホンザリガニ>
 左上の写真は最大クラスのニホンザリガニ。5cmちょっとくらいまでにしか大きくなりません。真っ赤になる個体もいるアメリカザリガニと比べると色も地味です。ただ、アメリカザリガニでも幼少時などはこのような地味な色をしており、ニホンザリガニと勘違いされることがあります。
 しかし、ニホンザリガニは北海道と東北北部くらいにしかそもそも分布していません。


<大きなウチダザリガニ>
 こちらは北米原産のウチダザリガニ。特定外来生物に指定されているので、飼育禁止、生きたまま運ぶことが禁止となっていますが、ニホンザリガニと勘違いしてしまう人が結構いるようです。ですが、根本的に大きさが違います。5cm以下のときはニホンザリガニと勘違いすることがありえますが、大きさの知識さえあれば、写真のような大きさのウチダザリガニをニホンザリガニと勘違いすることはありません。
 また、せいぜい15cmくらいまでのアメリカザリガニに対して、ウチダザリガニは20cmくらいにまで成長します。そして、スリムで俊敏なアメリカザリガニに対して、ウチダザリガニは非常に重厚でゴツイ反面、泳ぎはものすごく苦手です。重武装する代わりに俊敏性を犠牲にする進化を遂げたのでしょう。


二ホンザリガニとウチダザリガニ

 左がニホンザリガニ、右がウチダザリガニです。目と目の間の部分の先端の形が違います。ニホンザリガニは正三角形のような形をしているのに対して、ウチダザリガニは漢字の「山」のような形になっています。ニホンザリガニの可能性がある大きさでも、ここの形を見ればどちらか分かります。


 ちなみにニホンザリガニをお腹側から見るとこんな感じになっています。ハサミの下側はこのように鮮やかな赤になっていることが多いです。ちなみに男の子ですね。

 こちらはウチダザリガニをお腹側から見たところ。大きさが全然違いますよね。ですが、色具合はニホンザリガニと結構似ています。こちらもハサミの下側は鮮やかな赤になっていることが多いです。ちなみに女の子ですね。



Neetsha 作者コメント:
コメントはこちら
TOPに戻る